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108本の男根を夜の海辺で燃やす。 生田斗真主演『彼らが本気で編むときは、』感想と解説

   生田斗真が女性の役を演じたことで話題になった、荻上監督監督作『彼らが本気で編むときは、』を観た。

 かなり良かった。ちょいちょい泣いた。

 

   先日、現在公開中の注目されている映画最新作を記事にしたのだが、そこでも取り上げた本作の感想を改めて記事にしたい。

 

works-movie.hatenablog.com

 

   感想やあらすじを述べていくが、ネタバレは一切無しの方向でいこうと思います。

   ちなみにタイトルと内容は全く関係ありません、たぶん。

 

 また、何故今になった本作のように、LGBT、つまりセクシャルマイノリティの人々が話題に昇るのか、そしてゲイとトランスジェンダーの違いについて映画を使った解説をしているのでよかったらこちらも読んでいただきたい。

 

works-movie.hatenablog.com

 

 

『彼らが本気で編むときは、』

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(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督最新作。

 主演の生田斗真が演じるのは、元男性であるトランスジェンダー(心と身体の性に差がある人)のリンコ役。また、柿原りんこが育児放棄された少女トモ、桐谷健太がリンコの恋人でトモの叔父のマキオ役をそれぞれ務める。

   本作が描くのは、彼らが織り成す奇妙な共同生活を描いた人間ドラマ。

ストーリー

 11歳の女の子トモは、母親のヒロミと2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。

 ひとりぼっちになったトモが叔父マキオの家を訪ねると、マキオは美しい恋人リンコと暮らしていた。元男性であるリンコは、老人ホームで介護士として働いている。母親よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いを隠しきれないトモだったが……。 

感想と考察

 これはなかなか良かった。人と人との繋がりって素敵だね、涙出たよ。

 でもそういうテーマを据えて、直接的なテーマに括られないのがやっぱり荻上監督の作品だな。

 中々下ネタも多かったし、彼女らしい仕掛けもたくさんあった。

 

   さて、このあらすじを見ると、セクシャルマイノリティに対する認識がテーマなのか、と思われるかもしれない。

   しかしながら、荻上監督は「偏見をなくそうという映画ではない」と語っている。

   それはどういうことなのか、紐を解いていこうと思う。

 

   映画内では、男らしさ、女らしさという規範の逆転を意識させるシーンが多かった。例えば、男性が家事をやっていたり、女の子が男の子のような乱暴な口調で話したり。

   なるほど、現代においては、共通認識として存在していた男女という枠組みが今までのように機能しなくなってきている。

   にもかかわらず、未だに男だから、とか、女だから、という規範への認識は消えていない。

 

 トランスジェンダーであるりんこの存在が示唆するのは、そういったセクシャルマイノリティの苦悩ではなく、男女という枠組みが再び問われ始めているということだ。

 かつては男性の身体を持っていた彼女の存在は、男女という既成の観念を相対化する役割を持っている。

 彼が演じたりんこは、女性より女性らしい、という評価がなされることもあるようだ。

 しかし、女性らしさってなんだ、男性らしさってなんだ、ということなんです。

 

 男だからこれはしてはいけない、女だからこうあるべきだ、という認識、

 もっと言えば、社会に存在する、マイノリティに対する意識。

 それこそ、性差があるセクシャルマイノリティや、少数派の人種、そして身体になんらかの障害を持つ方々。

 もはや、マジョリティやマイノリティなんて言葉は本来の意味として機能していないのではないだろうか。

 みんながみんな、それぞれの個性を持っている、けれどその個性のために悩んだり悲しんだりする。死を選ぼうとする人だっている。

 寂しい事なんだけど、それを理解してくれる人が一人でもいたら、きっと人生は少しだけでも豊かになるよね。

 

 男女という役割がほころびを見せている今日では、同時に家族という形態も問われ始めている。親子っていうのは厄介なものだよね。

 そこのところらへんはちょっと手が疲れてきたのでまた改めて機会があれば述べたいと思う。

 

 たぶんこれ観て、よっしゃ!観に行ったるで!とはならないかもしれない(笑)

 ただ、もしこの作品を観た人の感想を違う視点で聞けたらな、と思う。

 

最後まで読んでくれた人がいるとしたらとても嬉しい。

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それじゃまた。

 

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